オデッセイ(リドリー・スコット/アメリカ/2015)

20160304、としまえんにて鑑賞
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たぶんこの映画の推進力は知性とか学問が照らす光みたいなもので、そのオプティミスティックな輝きが悲劇を喜劇に反転させる、その軽やかさを期待してみていたわけですが、ちょっと~~~~中途半端な??GGでコメディ部門になってたからもっとコメディなのかと期待してましたがそんなこともなく。いまいち状況に対する感情の踏み込み(それは喜びも悲しみもおかしみもですけど)が甘いので、コメディっぽさが上滑りしているというか、映画全体がぼけっとしていた印象。
 
主演はマット・デイモンでよかったのかな?なんかもうちっとファニーな感じの人のほうが…とにかく踏み込みが甘いと感じてしまった。宇宙工学?の学生役をやっていたドナルド・グローヴァーがよくて、ああいう類の軽やかな推進力を期待していました。指輪物語のくだりかわいかった。
 
レイティングの関係もあるのか、明らかに編集でカットされてる会話もあったりして、ディレクターズ・カットがあったらもっと面白いのかもしれない。赤茶けた火星の風景の中でしばしば佇むマット・デイモンのバックショットは美しかったです。
 
あと哀しみと喜びを軽やかさとともに運んでくるって言われるとどうしてもゼロ・グラビティのジョージ・ルーニー思い出しちゃって、あれは軽やかさの根ざしているところが全然違うので比べるものではないとわかりつつも、つい映画を見ている間もラジオのことを思い出していた。
 
話はずれるけどアカデミックな場面で通用するシニカルな冗談って理系文系問わずあると思うが、私はその倫理に配慮しない切れ味みたいなのが好きです。問題があり解決するには理論上こうなるじゃあやってみっか怒られるかもだけど!っていう合理性が持ってる明るさみたいなものに勇気づけられる。オデッセイに足りないのはその要素な気がする。よく唱えられる倫理感に配慮しない感じが欲しかったんだな。
 
これにはかなり異論があるとは思いますが、わたしはオデッセイよりプロメテウスの方が好きです。