ロブスター(ヨルゴス・ランティモス/ギリシャ・フランス・アイルランド・オランダ・イギリス/2015)

 
20160330シネマカリテにて鑑賞。
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物語のテーマそのものは、それなりに納得している30代既婚者としてはうん…まあそういうこともあるかもね…という内容でございましたが、映画としてはかなり好きです。
 
終始喉に小骨が刺さったような違和感のある映画。食事をしても着替えをしても会話をしてもダンスをしても運動をしてもセックスをしてもぎこちなく居心地が悪い、つがいでいることを強いられた人たち。つがいになって社会生活を送ること自体がとても不自然なことなんだね。
 
じゃあ独りでいることが自然で自由なのか。残念ながらそうじゃなくって、独りで好きなように踊っても、食べても、眠っても、マスターベーションをしてもぎこちないし居心地は悪い 。
 
独りでいようがつがいでいようが、生きてることが不自然で不自由なことなんだな。世界と私の間には違和感違和感違和感。つがいの強要を否定して森の中で見つけた相手が真実の相手ならいいけれど、そこで行われるつがいの儀式はホテルで行われることとなんら変わらんのや。
レストランで取り残された彼女の元に彼は戻ってくるのか。どうしたら正しく自然なのかしら。
 
カタルシスがあるのはいつもハンティングの時だけなのだった。ハンティングが行われる瞬間のスローモーションのシーンが素晴らしく、スローモーションとは瞬間の拡張だし、スピードが上がるってことなんですね。
 
その他。コリン・ファレルのだらしない腹が愛らしい。ゲイっぽくないベン・ウィショーは久々です。ボーダーコリー飼いたい…って思ってたら横っ面ビンタはられました。
森を抜けて枯れ草の中をスーツで走るシーンもとても美しかった。あとプールで背泳ぎ最高。
 
ハンティングする女って素敵なモチーフだよね〜。ミケル・ゴメスの熱波など。猟銃を持った女はよきものよ。