夏の思い出と8~9月にみた映画のこと/母と暮らせば、日本の一番長い日、シン・ゴジラ

気が付いたら前回の更新から2か月です。よくない時期でした。すこしだらりとしていた。サッカーのインハイのよもやま話を書こうと思ったのですが、観戦環境がわりと過酷でそんな元気はありませんでした。サンフレッチェサポの皆さんはホームの試合をあそこまで見に行っているのかと思うと……まじで広島市は早急にスタジアムつくってあげて。マジで。

 

インハイの結果は市立船橋の優勝。準々決勝から3試合市船の試合を見ましたが、今年の市船は大人のチームだな、としみじみしました。すでにJリーグ内定している選手もちらほらですね。去年からかなり注目されていた杉岡くんはもちろん、原くんや高くんも内定が出ているようで…育成年代で特定のチームを追いかけてみるようになったのは最近のことなので、選手の成長を見届けるのはこんな感じなんだなあと思っています。個人的には原くんがすごく好きなタイプのプレーヤーなので、ぜひ東京五輪なんかもね、みてみたいよね。育成年代を見ているとこんな楽しみもあるのだなあ。

冬に向けてみんな怪我なく頑張ってほしいなと祈っています。課題はやっぱりどう点を取るかってとこで、個人的には6番の阿久津くんの成長曲線はチームにダイレクトに影響を与えそうだなと思っている。インハイですごく積極的だなって感じたので、そこでボールを引き受けて時間を創れるようになったらすごくチーム全体が面白くなりそうだな。あとは前線の選手で誰が出てくるか…多分これから冬にかけて新たな選手が試合に出ることも増えるでしょうから、それも含めて冬の選手権が楽しみです。

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すっかり時間が経ってしまったけど、8~9月の間は映画を3本しか見ませんでした。なんだかんだ、活動力が落ちていたんだな。あとサッカーをみていたのであまり映画を見に行かなかった。メモ程度に。

 

8月は新文芸坐さんの戦争映画特集で2本。母と暮らせばと日本の一番長い日(岡本喜八監督版)を見ました。

 

母と暮らせば(山田洋次/2015/日本)

新文芸坐反戦反核映画祭にて鑑賞。鑑賞日は忘れてしまった…。

公式サイトはこちら

hahatokuraseba.jp

これは二宮くんを見に行きました。そして小百合さんに触れあったことがなかったので、スクリーンで見てみようという興味でした。二宮くんは蜷川さんの青い炎以来。去年、キネ旬の主演男優受賞時の表彰式でご本人を遠目からみたんだけど、彼はあれだね。落語家みたいなしゃべり方する人だよね。

結論から言うと、ラストがグロテスクすぎて困惑した映画でした。伸子(吉永小百合)の死後、教会以降の描写はかなり共感しがたいつくりだった。あれはどういうつもりでああしたんだろう。グロテスクさを狙ったものなんだろうかそうじゃないんだろうか…。自己憐憫のモンスター味を感じてしまった。

山田洋二監督とあまり相性が良くないのかもしれないです。きっとそれがいいんだろうけど、演出が型通りすぎてちょっと白けてしまうんだな。テンションについていけず。

浩二(二宮和也)はまさに迎えに来た天使で、彼の微笑みはもう半分死んでるんじゃないかみたいな透明さがあってすごく魅力的。若くして死ぬみたいな香りがする(ご本人にはぜひ長生きしてほしい。きっといいおじいちゃん俳優になると思うよ)。浩二の胴体が隠れている/フレーム外で、四肢だけが見えているシーンがいくつかあって、その点がフェチズムを感じて一番印象的だった。美しかったです。

小百合さまの神通力は私にはよくわからなかったんだが、私の隣に座っていたおばあちゃんが号泣してらして、きっとそういうものなのだろうなと思った。整理券が出るほどの行列で、多分観客の中では私が一番若かったです。同じ映画を見るでも、作品と場所が違うだけでこんなに違うフィールドが広がってるんだなあ。

 

日本の一番長い日(岡本喜八/1967/日本)

新文芸坐反戦反核映画祭にて鑑賞。同じく鑑賞日は忘れてしまった。観たらすぐ感想を書こう。

予告版はこちら

www.youtube.com

シン・ゴジラの予習も含めて見に行きました。日本の戦争映画を見るのが苦手で避けてたんですが、これはめ~~~~~っちゃ面白かったし、これまで見てなかったことを恥ずかしいって思った。扱ってる題材のテンションの高さに対して、過剰な感情の波を抑えた淡々として冷たいカメラの距離にしびれたし、にもかかわらずドキュメンタリタッチでは全くない。それは創られた物語であるっていう映画的な美しさもしっかりとあって、そのバランスにくらくらする。

私が日本の戦争映画に腰が引けてしまうのはその被害感情の扱い方で、日本が戦争をしたっていう事実への批評精神が希薄だったりバイアスをフラットにしようと努力したあとが見られなかったりした日には、どうも観るのに耐えられない。で、リスクを避けようとして、個人の物語を題材にして戦争の極々一部を拡大している作品(母と暮らせばはこれですね。野火も面白かったけど、アプローチとしてはこれ)も意義は理解しますがなんとなく逃げを感じてしまう。

しかし、そういう意味で岡本喜八監督版の日本の一番長い日は体制側で起こったことを描いている映画なのにものすごくフラット…フラットではないが、かかるバイアスを理解して話が作られているというか、そういう印象でした。戦後まもなくこれを撮ったのすごいな…って話をツイッターでしたら、フォロワーさんがこの映画は代打で監督しているので、ぜひ『肉弾』をあわせて観てくださいと教えていただきました。観ます。

映画中で国体っていう言葉が出てきて、それはアイデンティティと言い換えていいと思いますが、自分が生きている国についてあらためて考えたよね。政治思想的な話になるのでこれ以上はここに書かないですが、地理的状況とか、周辺地域との関係とか、世界的な動きとか、いろんな要因が重なって自分の国はある一つの道を辿って戦争を経験して敗戦国になって…しかしなぜ戦争をしたのかってことについて解きほぐすのはすごく難しくて、もちろん国民がそれを選択したことは間違いないんだけど、じゃあその時々の最善の選択がなんなのかって答えを出すのは多分すごく難しい。遅れてきた戦後がさしせまった今見ると、すごくタイムリーな映画だなと思いました。

私たちは過去からできるだけ情報を集めて、その情報のバイアスを理解して、現在の状況を鑑みて、自分が採用する情報を決断して、できるだけ最善と思われる道を選ぶしかない。すっごく難しいことだよね。全然単純じゃない。戦争が他人の物を奪うためだけに起きることだったら、ヒトラーだって間違えなかったかもしれないのにね。

この映画をエンターテイメントとして楽しんだ一面から言うと、私は外務省の人たちと宮内省の人たちが好きで、それは彼らがある意味では熱狂の外にいるからだと思います。これはシン・ゴジラにつながる話だね。

ちなみに、私がいままで見た中で一番好きな映画の1本はアンダーグラウンドエミール・クストリッツァ/1995)で、ユーゴスラヴィアの内戦を扱った映画です。内戦が継続されている時期に発表されているのは、本当にすごいことだなっていつも思う。めっちゃ好きな映画です。

 

シン・ゴジラ庵野秀明/2016/日本)

ユナイテッドシネマ豊島園にて鑑賞。日付は忘(略)

公式サイトはこちら

www.shin-godzilla.jp

これはもう一回観に行くチャンスがあるかもしれないので、もう一回観たらちゃんと独立した感想を書きます。率直にいうと面白かったよ~~~庵野監督すごいがんばったなあ。

結構、福島の原発事故の影響が色濃いって論評を事前に目にしたのですが、ゴジラは自然災害じゃないしな…そして福島原発が人災だったかどうかって話ですけど、人災だったとしても、災害のエネルギー源が自然発生の部分が大きすぎないかい?ということもあり、わたしは、シン・ゴジラは戦争映画、というか戦後映画として観ました。主に、国体/アイデンティティについて語った映画って意味です。岡本喜八監督版の日本の一番長い日には話の構造と特に演出面でものすごく影響を受けている映画だと思うので、余計にそう思うのかもしれない。予習していたのでなるほどという感じでした。前半のなにかと会議してるあたりはほぼ踏襲じゃないか。

あと、エヴァに似てるっていう感想も見たけど、そもそもエヴァヤシマ作戦ってめっちゃ初代ゴジラの京浜地区攻防戦の下りだし、ゴジラが啓示的な災厄なのも祝福も破壊も持ち合わせた存在なのも初代ゴジラだもんね。なので、エヴァっぽいというよりか初代ゴジラっぽいってことでいいんじゃないかと思いました。

もう一つ、すごく印象的だったのは「仕事をしましょう」という言葉でした。昨今の風潮には逆流しているし美徳とするには功罪があるのはわかるんですが、率直に一番胸を打つ部分だったんだよね。多分それが、私が国家のアイデンティティとして最も手に掴んでいて、それでいて昔から変わらずあると感じているものだからだと思う。

働きマンに出てきたボケの花の回を思い出し、福澤諭吉福澤心訓を思い出したりしていました。真摯だなって思うよ。庵野さんは安野さんと結婚して大事なものをもらったんだなあと思いました。

なお、私の推し巨災対メンバーは厚生労働省医政局研究開発振興課長の森文哉(津田寛治)ですよろしくどうぞ。ごちそうさまでしたっ!