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シビルウォー キャプテンアメリカ(アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ/アメリカ/2016)  私の戦争はどこ

としまえん3DIMAXにて鑑賞。

公式サイトはこちら

marvel.disney.co.jp

またMCUですごい作品が生まれたな〜。色々な切り取り方ができる作品ですが、大きな嘘を支える小さな嘘としての痛みと、ルッソ兄弟の暴力描写について思ったことを。


ズートピアと同じくよく出来すぎてて感想の言葉を失いますな。前作のWSでもそうなんですが、まずアクションが素晴らしいですよね。私がすごく好きなのは、慣性がきちっと描かれること。殴った側の反動と、殴られた側が接触して、吹っ飛んで、何かにぶつかり跳ね返る(これがとてもいい)までがアクションのワンセットとなっていて、その重力がつまりたしかにそこにある「痛み」に説得力を持たせる。

ヒーロー映画は起こる出来事(フィクション、嘘)は大きくなきゃいけないけど、嘘はでかすぎると、観客は置いてけぼりになる。そこで大きな嘘を支えるためには、さも本当にそこにあると観客に思わせられるような小さな嘘をつみかさねて説得力を出さなきゃいけない。

映画の大きな嘘を支えているルッソ兄弟の「小さな嘘」は、確かにそこにある「痛み」であり、それがつまりあの暴力描写、アクションなんじゃないかと今回強く思いました。本当にアクションは素晴らしかったよ~。なんどもうっと声を出してしまった。

 

アベンジャーズの働きによって無関係の市民が(ごめんなさい数覚えてない)死にました、と聞いて、最初は大局を考えたら小さい犠牲は仕方ないのでは?って思う。ティ・チャカが父の敵を討つと誓ったとき、その憎しみは個人的なもので、公のことを考えたらどうよ…とも思う。
痛みが自分から離れたところにあるとき、私たちは個人よりも大局を優先すべきと考える。多分トニーの心境に近いのではないかしら。彼は戦争に使う道具を作る人で、彼は彼なりに大局を考えて平和を維持するために自分の力を使おうとしているけど、戦争自体はすごく遠くにある人です。

トニーが自分の父母の真実を知ったときに、彼の前に初めて知性を覆ってしまう怒りと圧倒的に現実の「痛み」がやってくる。私たちはその姿をみて哀しみ、でもバッキーが悪くないことも知っていて、それでも抑えきれないトニーの怒りに心が引き裂かれて涙する。

でも、でもその痛みは、私が人数も覚えていないソコヴィアで死んだ市民にも起こったことなんだよ、トニー…皆に起こっていたことはそれなの…。トニーも私も、ラストに至ってそのことを本当の意味で理解する。ジーモにとっても遠くにあった痛みは家族を失って初めて現実となった。

映画冒頭は希薄だった痛みは、小気味よく切れがよくしかし圧倒的に重力のある暴力描写によって丁寧に嘘が積み重ねられて、最後に至り私たちに現実世界の確かな痛みを突きつける。それは、今、アメリカ(裕福な私たち)から遠く離れた世界で起こっている現実の痛みでもある…

そして、現実の世界でも存在している問題に対して、オプティミスティックな祈りもしっかりと映画の中で描かれる。それはまさに祈りだと思うんだけど。これはズートピアと一緒で、ブロックバスター映画が担うべき責務みたいな意思を感じたのでした。

その一つはティ・チャカがジーモを許すことだよね。私はマンデラ大統領のことなどを思い出したりもしたんだけど、結局一番最初に犠牲になるのはいわゆる第三国の貧しい人々なのは象徴的だし、報復を最初に放棄し争いの連鎖を断ち切るのがティ・チャカなのもすごく象徴的だった。

もう一つは、キャップの手紙にあるindividualですよね。複雑になってしまったこの世界で私とあなたの最小単位においてまだ分かり合うことは可能なのではないか。現実にはすごく難しいことだけど…

それってきっとルッソ兄弟が考えるアメリカっていう国のスピリットでもあり希望でもあると思うのですよね。キャップはアメリカの魂として、それを信じているんだな。キャップはすごくすごくかっこいいです…それぞれキャラの憂いを乗せた表情も丁寧に撮ってて美しかった。
あらゆる方面に目配せし、楽しませる要素は行き届き、 ドキドキするサスペンス(終盤までジーモの思惑がうまく隠されてるのうめえな!て思いました。この大作の悪役を上滑りせず務めたダニエル・ブリュールは本当にブリリアント)も、思わぬ展開の逆転もあり、シリアスな話が重たくなってきたところでスカッとするアクションもあり、次回作が自分たちの手を離れても大丈夫なように、気を効かせて話を閉じる。 個々のキャラクタたちは一人一人が信念を持って行動し、生き生きとストーリーを紡いでいく。ルッソ兄弟がどこまで走るのか続きを見るのが楽しみです!

 

あと新しいスパイダーマンも超楽しみ。ブラックパンサーも!!あとナターシャの個人タイトルどうか頼む(ナタクリ出会い編で)。

今回、知ってる俳優いっぱい出てきて楽しかった!ダニエル・ブリュールの役どころ全く知らなかったのでびっくりとともに、すご~~くよかった。。あの悪役の位置にドイツ人俳優を配役したのは、これもまたバランス感覚というやつかと思いました。マーティンまじでいつもと同じ感じでめちゃわらった。普通のおじさん最高w
トム・ホランドのスパイディめちゃ楽しみっ!キャップとのボーイ!どこ出身だよ!ってのもよかった…。私はオンザハイウェイで声の出演だけ聞いています。スパイディの軽妙さがアベンジャーズにいるときの空気読まない感じに通づるとこがあり楽しかった。マリサ・トメイのメイおばさん反則すぎ。

細かいところで、老年期のスターク父ちゃんがマッドメンのロジャーだったのもおってなりました。あとスタン・リー御大の登場シーンは個人的に一番好きかも。ガーディアンズオブギャラクシーのも好きなんですけどw

終盤近くのロシア行ってからはもう、本当に暴力描写が耽美としか言いようがなく…もういっかい2Dで見たい、キャップもバッキーもトニーも、ティ・チャラもジーモも、本当に美しい表情だった。すばらしかったよ。正直に申し上げると、役者としての力量がRDJが頭一つ抜けているのでちょっとバランスが崩れてしまっているという気がしましたが…

あえて物足りない部分をあげるなら、キャップのキャラクタが弱いということ、アメリカの功罪の罪がいつも彼の外側にあるという点でどうしても物足りないと感じるのですが、それはインフィニティー・ウォーの出来を待とうと思います。

 

中盤の楽しいガチンコ対決はほんと楽しいガチンコ対決だったんだけど(でかくなるの楽しいすぎ)、もしアベンジャーズにXMEN合流してたら収集つかんかったな…って夢想してにやにやしました。どう考えても教授はチートやな…