レヴェナント(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ/アメリカ/2015) 私を導くnatureの声

20160427、としまえんIMAXにて鑑賞。

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www.foxmovies-jp.com

率直に言って期待ほどではなかったです。ちょっとトレイラーの編集ずるくないかいという部分もあります。

イニャリトゥの映画のテーマは、基本的には喜びも悲しみも祝福も呪詛も、ただ私たちはその船に乗って移動するしかなくその先は不可知(神のみぞ知る)である、ってことなのかなと思ってるんですが。もちろん神っていうのは宗教上作りだされた神じゃないよ。なんですかね。運命みたいなもの。

で、レヴェナントはその不可知の先は、山や川や雪や風や木々の木漏れ日や沈む夕日や動物たちの息遣いや流れる血の向こう側にあるっていう映画だと思うんです。で、その中に放り出された人間は、その不可知の声を極限で受信する。


てことだと思うんですけど。この映画がそのテーマを受け止め切れていたかと言われるとううむ…。ハードルをクリアしていたのはルベツキの撮影(自然光ってなんだよすごい)、教授の音楽、役者はトム・ハーディまでかなという印象でした。


レオは、依代でなければならなかった。でもそういう役者じゃないし、ミスキャストだよね(ごめん)。不可知の声を聴くにはレオの肉体はnatureから遠すぎる。これでオスカー取らせるなら、絶対にジャンゴのキャンディで取らせるべきだった。んも~~オスカーおめでとう!!
トムハーディは、本当にいい役者ですね私とても好きです。ラストの極限のシーンにおいてあの歩き方…輪郭が境界線の上を揺らいでいる。あんな歩き方できる!?できないよ!!本当にいい役者だな~と感心しました。ドーナル・グリーソンもめちゃすきなんだけど、この映画ではちと役に着られてたかな…

ともかくも、この映画は撮影の迫力なくしては語れないっていうかそれがすべてなのではなかろうか。曇天がこんなに美しい映画なかなかなと思います。特に降りかかる試練がやってくるたびに挟みこまれる、木々を見上げるショットが秀逸です。そのとき耳を澄まして私は啓示を待っていた。

私は山生まれ(あんな過酷じゃないけど)なので、木々から漏れる光や揺れる葉の影や通り過ぎる風の音や湿った土の匂いが、やけにすぐ近くにあるような、自分が拡大していくような感覚、子どものころ知ってたなってことを思い出した。それが、フィルムの中にちゃんとありました。


上記のような理由で、この映画はできることならIMAXで見たほうがいいし、映画館で見られないなら家で見ても仕方がないから見なくてもいい映画だと思われます。
これは感想じゃないんだけど、直前にバベルと21gを見直してたこともあり、イニャリトゥはまたロドリゴ・プリエトとも仕事しないのかな~~~って思いました。もちろんルベツキすごいんだけど。